ケース・メソッドとは

ケース・メソッドはHBS設立時から続くHBSの伝統的な指導方法です。毎年学期の始めに膨大な量のケーススタディマテリアルが配られます。一回の授業に対し、少なくとも12ページ、多くて20ページ程の冊子を読み込み、授業に臨みます。ケース・メソッドで問われる点は主に、このケースの問題点は何か、周囲を取り巻く環境はどうなっているか、そしてあなたがこのケースの主人公ならどうするか、といった点です。授業はいわゆる教授のコールド・コールで始まります。コールド・コールとは授業の冒頭に教授がランダムに誰か一人をあて、あてられた人はケースの問題点は自分が主人公だったらどうするか等、語らなければいけません。事前にケーススタディマテリアルを読み込んでおかないと、あてられても答えられず爆死しますので注意が必要です。又、授業中にもランダムに教授からコールド・コールが入ります。発言の頻度が少ない人はコールド・コールの対象になりやすいです。

日本企業がケーススタディの題材として取り上げられることもしばしばあります。最も定番のケースは、トヨタの生産システム(オペレーションの授業で生産効率化をテーマに学習)です。他には、最近では楽天の社内英語化(リーダーシップの授業で組織変革をテーマにした題材として採り上げ)があります。面白いところでは、Tessei(新幹線の掃除をするJR東日本の子会社)が7分間で新幹線の清掃を終わらせるためにどのように従業員のモチベーションを高めているかといった点についてディスカッションをします(これもオペレーションの授業です)。もちろん、日本に関するケースでは日本人学生は発言して何らかのコントリビューションをする必要があります。

 

ケース・メソッドのメリット

HBSの伝統的教育法であるケース・メソッドは、他の大学のMBAコースでも採用されていますが、HBSでは全ての授業をケースメソッドで行うため、それによるプロ・コンも存在します。ケース・メソッドは実際のビジネスの局面をシミュレーションしながら自分だったらどういう判断を行うかというトレーニングですので、事前の予習量が多く負荷は大きいですが、自身の思考を深める為には最適、且つ授業中の限られたタイミングでインパクトのある発言をする必要がありますので、「ロジカルで説得力のある説明能力」が鍛えられます。実際のビジネスの現場でも正解が無い局面での意思決定をする機会が多いので、そういった能力をケース・メソッドを繰り返して地道に身につけることは一生の財産になります。

下の写真はケースマテリアルの「山」です。写真は1学期分の一部で、全体の量はこれよりも更に多いです。

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